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ボタニカルパーク「GREEN PATH」設計

株式会社プランツスケープ
インタビュー vol.2

つくばエクスプレスの高架下に誕生した、ボタニカルパーク「GREEN PATH(グリーンパス)」――。高架下を、周辺施設をつなぐハブ機能を担う緑豊かな空間に変えるとともに、人と植物の関わりを深め、緑の環境価値を伝えていく場として活用する画期的な取り組みでもあります。

今回、企画・設計・植栽選定など、プロジェクトを総合的に担当した株式会社プランツスケープの小泉遼太さんに、プランづくりの起点となったイメージや設計意図、空間に込めた想いなどについて伺いました。

株式会社プランツスケープ 環境装飾部 部長

小泉 遼太さん

植物とデザインの力で“場”を豊かにし、そこに集う人々が幸福を感じる空間を創造するため、プロフェッショナルな技術と知識で、現代の都市環境における人と自然の関係を構築し、“緑”の魅力と効果を最大限高める新たな価値創造に取り組む。

インタビュー vol.1 自然の恵みを感じる、緑の拠点として インタビュー vol.2 この場所でしか、できないこと インタビュー vol.3 ワクワク感のある森

この場所でしか、できないこと

――「GREEN PATH」というネーミングには、どのような意図があるのでしょう?

当初は、もっと尖った名称も候補にありましたが、流山の街の雰囲気、わかりやすさということも含めて、“GREEN”という言葉はあった方がいいと考えました。

ずっと仮称でしたが、いつの間にか、この名称に決まっていましたね。

自然の中を歩くことを楽しむ道という意で“Footpath”、施設に溢れる緑の中を通って、街に住む人たちが交差する小径という意の“Path”に加え、訪れた人に新たな緑を“Pass”していく、あるいは緑溢れる空間への通行許可という意の“Passport”といった複合的な意味合いで、「GREEN PATH」というネーミングにしています。

――施設内に開業する店舗は、どのような考えで選定されたのでしょうか?

誰も取り残さないというSDGs的な意味合いでも、おおたかの森の昔を知る住民と新しく入ってきた子育て世代の住民が価値を共有し、住民全体として街のつながりを深めていけるようなものにしていく必要があると考えました。

そうなると、ショップやカフェだけでは厳しいし、子供たち向けのコンテンツだけでなく、大人も楽しめるものも取り入れ、幅広い世代が人と植物の関わりを学ぶ環境教育の場も必要になります。それを象徴するプランが「Salon」です。

もともと大航海時代にイギリスの貴族たちが多くの探検家を世界中に送り出した際、異国の希少な観賞用植物を採集するために、“プラントハンター”が各地のエキゾチックな植物を持ち帰り、貴族がそれを館の室内装飾に利用したことが絵画に残されています。

そういう貴族の館が貴婦人や文化人の集まる社交の場となり、「サロン文化」が花開いたといわれており、そこからイメージして、植物に囲まれたサロン的な空間を、このおおたかの森にも創りたいと考えました。

平日は趣味を楽しむためのカルチャースクール、週末は幅広い世代が参加できるワークショップを開催し、緑溢れる空間で、ステンドグラス教室や金継ぎなどにじっくり取り組みながら、大人が楽しめる“カルチャー”を発信していく場と想定しています。

流山ブランドの発信地として

「Otakanomori’s Got Talent (OGT)」は、おおたかの森の住民の隠れた才能を発表する場として考えたものです。例えば、写真を撮っている方が個展を開いたり、大切に育てている盆栽を展示したり、子育て世代を対象にしたワークショップなどを開催したりしながら、異世代が交流できる場にしていきたいと考えています。

そして、環境面の取り組みとして特徴的なのが「UPCYCLING」です。

この空間に植物を入れて管理していくとなると、どうしても枝ゴミや剪定ゴミ、落ち葉などが生じます。それをできるだけ、この場で循環させていく仕組みができないかと考え、植物から出る枝や葉などの廃棄物を、コンポストを使ってアップサイクルして土に変え、流山ブレンドの土として肥料に使ってもらうことで、地域に還元していく。

他から調達してくる既製品ではなく、この土地で生まれる製品がアップサイクルされる過程を可視化することで、親しみのある“流山ブランド”という地域の価値として提供していきたいと考えています。

中心部に建つガラス張りの特徴的な温室内にある店舗「FOREST」は、「街と緑を繋ぎ、家の中に小さな森を」というコンセプトで、まさに緑のエレメンツを周辺に広げていくための拠点となるインテリアとグリーンのセレクトショップです。お気に入りの植物に合う鉢やガーデンアイテムを揃えており、特に観葉植物は、他店では扱っていない種類を全国から集めています。

店外にはキッチンカーが常駐しており、季節のメニューを提供すると共に、パイナップルの葉から繊維を取り出して作られた生分解性のストローを使用するなど、飲み物を買うことでSDGsに参加できる場ともなっています。こうした身近な場所から、日々の生活の中で取り組めるSDGsを発信できたらいいなと考えています。

株式会社プランツスケープ
インタビュー

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森のまちから考える
SDGsとこれからのまちづくり

「SDGs」という⾔葉をご存知ですか︖
Sustainable Development Goals(持続可能な開発⽬標 : SDGs)は、
簡単にいえば、誰もがしあわせに暮らし続けることができる世界を、
次の世代につなぐために、みんなでできることをしていこうという⽬標です。

そういわれても何をすればいいのだろう︖
自分にできることって、あるの︖
そう⼾惑う⼈もいると思います。

でも実は、とても⾝近な、⼩さなことから始められるものなのです。
わたしたち流⼭おおたかの森S・Cでも、⼩さなことから⼀つ⼀つ、
積み重ねていくことが⼤切だと考え、取り組みをスタートしています。
みんなが暮らす、この街を、もっとよりよいものにしていくため、
ぜひ⼀緒に、サスティナブルなまちづくりに取り組んでいきませんか︖